★★★輻射点と速度から軌道(RVO)・軌道から輻射点と速度(ORV)・     軌道長軸方向(LB)を計算するプログラム【RVO.EXE】の使用方法★★★  複雑な流星の軌道計算を、輻射点位置と速度を入力するだけでできる「RVO」、 彗星などの軌道要素から予想される流星の輻射点位置と速度を計算する「ORV」、 流星群の群判定などに用いられる軌道長軸が向いている方向を計算する「LB」の 3種類のプログラムを1本にまとめました。どのプログラムを使うかは、ファイル のヘッダで判断しています。このバージョンから、プログラム中でファイル編集を 行えるようにしました。このプログラムはMS−DOS汎用で、PC98及びDO S/Vで使用できます。  RVO.EXEを起動すると、下記のように表示されます。 [ファイル名 0:データ手入力 ?:説明 : ] ここで、 (1)ファイル入力で計算を行う  → 軌道ファイル名を入力 (2)データ手入力でファイル作成 → 「0」を入力 (3)プログラムの説明の表示   → 「?」を入力 (4)プログラムの終了      → リターンのみを入力  軌道ファイルはMSS-WGの要約軌道表形式です。? で表示される説明を下記します ので、ファイルの形式を参考にして下さい。なお、ファイル名の拡張子は自由です が、出力ファイルは「RVO」が「.RVO」、「ORV」が「.ORV」、「LB」が 「.LB」なので、各々それ以外にして下さい。 ------------------------------------------------------------- 2013.01.26 SAE&S [輻射点(R)と速度(V)から軌道(O)を求めるプログラム:RVO] 1)このプログラムは、視輻射点,観測速度 または 補正輻射点,地心速度 から軌道要素  を求めます。 2)視輻射点,観測速度のときは、地球の自転の補正、天頂引力の補正を行い、補正輻射  点,地心速度を求めてから、軌道要素を求めます。 3)輻射点,速度の他に、流星出現時刻、流星発光点の東経,北緯,高度が必要です。全て  ファイルで入力してください。 4)ファイルの作成方法が分らない場合は、「データ手入力」を選んでください。質問に  答えていくとファイルが自動作成されます。 1)軌道データより前の行で、 ENH= に続けて、流星発光点の東経(゚),北緯(゚),高度(km)  を入力してください。(フリーフォーマットです)。 2) ENH は、おおよその値でかまいません。 3) ENH は、流星ごとに変更可能です。 4)補正輻射点,地心速度のときは、ENH= 0 0 0 とすると、地球中心に対する軌道要素を  求めます。視輻射点,観測速度のときは、必ず ENH の値が必要です。 1)以下のフォーマットの軌道ファイルを対象にします。 MSS-WG の 要約軌道表 です。  出力ファイル名には拡張子として .RVO が付きます。 2)指定した小数点位置を検出し、DATE UT Rad 速度 を読み込んで軌道要素を計算しま  す。小数点位置の該当しない行は、何もせずにそのまま出力します。 3)16カラム に、小数点があると、それ以下の数字は時分秒ではなく、時分秒を日の単位  に変換した値と見なします。この場合、小数点以下6桁まで読み取ります。  (例:1995年10月01日18時UT = 19951001 180000 = 19951001.750000) 4)24〜25カラムに、「Ap」の文字があるか、「Co」の文字があるかで、入力データが  視輻射点,観測速度 なのか 補正輻射点,地心速度 なのかを判断します。 5)「Ap」「Co」は、流星ごとに変更可能です。 6)30〜35カラムに、特に指示がないか、「(2000)」の文字があると 2000.0年分点、  「(1950)」の文字があると 1950.0年分点で入力、出力します。 7)輻射点,速度 の精度を上げたいときは、小数点位置はそのままで、小数を2桁まで  記載してください。 24〜25カラム ENH= 139.7 36.8 100 ↓ 30〜35カラム ID DATE UT Co.Rad(2000) SD VG MSSP01 19830103 172135 229.1 48.1 .3 44.8 -------- ------ ---.- ---.- --.- 8 〜 15 17〜22 27 33 42 <--カラム [RVO軌道計算実際例]  以下の「入力」がRVOへの入力データ、「出力」が計算結果です。視輻射点,観測 速度は、補正輻射点,地心速度に変換されます。正式な軌道計算結果と較べて下さい。 DATE UT AppRad(2000) SD Vo a e q ω Ω i 1)入力 19830103 172135 227.8 48.2 .3 46.5  出力 19830103 172135 229.1 48.1 .3 44.9 6.80 0.856 0.978 171.3 283.0 76.6 2)入力 19830103 172135 227.80 48.16 .3 46.45  出力 19830103 172135 229.10 48.11 .3 44.85 6.58 0.851 0.978 171.2 283.0 76.6 Co.Rad(2000) SD VG 3)入力 19830103 172135 229.1 48.1 .3 44.8  出力 19830103 172135 229.1 48.1 .3 44.8 6.42 0.848 0.978 171.2 283.0 76.5 4)入力 19830103 172135 229.10 48.11 .3 44.85  出力 19830103 172135 229.10 48.11 .3 44.85 6.58 0.851 0.978 171.2 283.0 76.6 MSSP01 正式な軌道計算 229.10 48.11 .3 44.85 6.58 0.851 0.978 171.2 283.0 76.5        (注意:見やすくするため a の前にブランクを入れています。          よって、フォーマットがRVO入出力のものと異なっています。) ------------------------------------------------------------------------------ [軌道要素(O)から地心輻射点(R)と地心速度(V)を求めるORV] 1)ORVのときは、必ずファイルの1行目に「ORV」の文字を入れてください。 2)指定した小数点位置を検出し、 e q ω Ω i を読み込んで Rad VG を計算します。 3)分点は2000年分点のみです。 4) SD の項目には、地球と基準軌道との距離が、1/1000 AU 単位で出力されます。 5)ORV計算は、軌道が地球と交差するように軌道要素を変化させています。よって、  軌道要素の出力も変化しますが、出力を変化させたくないときは、ファイルの2行目  以降に「ORBIT=FIX」の文字を入れてください。 6)入力ファイルフォーマットには以下の5種類があります。 7)入力1は軌道要素のみ指定、入力2は年を指定、入力3は年月日時分秒を指定、  入力4は年月日(時分秒を日の小数以下)を指定、入力5は太陽黄経を指定。 ORV ORBIT=FIX ID DATE UT Co.Rad(2000) SD VG a e q ω Ω i 入力1 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 入力2 1989 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 入力3 19890505 182351 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 入力4 19890505.766563 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 入力5 45.40 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 ^ ^ -.--- -.--- --.- ---.- ---.- カラム --> 16 20 51 57 65 71 77 [ORV計算実際例] ID DATE UT Co.Rad(2000) SD VG a e q ω Ω i 1)入力1のときは、輻射点,速度,距離と推定太陽黄経が2行出力されます。 出力(降交点側) 45.43 337.7 -1.3 000 66.1 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 出力(昇交点側)207.31 94.4 16.2 084 66.8 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 2)入力2のときは、加えて推定観測月日時が2行出力されます。 出力 19890505 20 337.7 -1.3 000 66.1 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 出力 19891020 14 94.4 16.2 084 66.8 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 3)入力3のときは、その時刻に於ける輻射点,速度,距離が出力されます。 出力 19890505 182351 337.7 -1.3 001 66.1 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 4)入力4のときは、その日に於ける輻射点,速度,距離が出力されます。 出力 19890505.766563 337.7 -1.3 001 66.1 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 5)入力5のときは、その太陽黄経に於ける輻射点,速度,距離が出力されます。 出力 45.40 337.7 -1.2 001 66.1 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 基準 19890505 182351 337.6 -1.3 .1 66.1 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 [ORV使用上の注意]  入力1 または 2 (つまり観測日時を指定しない)ときには、結果が2行出力されま す。このときどちらが昇交点側で、どちらが降交点側なのかはデータによって異なりま す。また e q を固定のまま、ω Ω i を変化させて、地球軌道と交差させますので、 両方とも昇交点側または降交点側と言うこともありえます。  入力1 または 2 (つまり観測日時を指定しない)ときに、正しい結果が得られない 場合があります。このようなときには、以下のように観測日時を少しずつ変えて計算さ せ、軌道と地球間の距離が最も小さくなる場合の結果を採用するなどしてください。 ID DATE UT Co.Rad(2000) SD VG a e q ω Ω i 出力 19890504 18 337.0 -1.6 016 66.0 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 出力 19890505 06 337.3 -1.4 009 66.1 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 出力 19890505 18 337.6 -1.3 001 66.1 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 出力 19890506 06 338.0 -1.1 006 66.1 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 出力 19890506 18 338.3 -1.0 013 66.2 20.3 0.971 0.589 98.9 45.4 164.2 [ORV参考資料]  ORVは、長谷川一郎先生の以下の論文を参考にして作成されています。入力1,2は ωアジャストメント法、入力3,4,5はqアジャストメント法で計算されています。 詳しくは論文をご参照ください。 Hasegawa,I.: Predictions of the Meteor Radiant Point Associated with a Comet, Publications of the Astronomical Society of Japan,42,1990,pp.175-186. ------------------------------------------------------------------------------ [近日点黄経(λ),黄緯(β)の計算] 1)同一群判定のために、近日点黄経(λ)と黄緯(β)を求めます。 2)要約軌道表を入力して、λ,β が追加された表が出力されます。 3)入力ファイルの1行目に必ず「LB」の文字を入れてください。 4)以下が入力ファイルの例です。入力フォーマットは、時刻に関して3種類あります。 LB ID DATE UT Co.Rad(2000) SD VG a e q ω Ω i MSSP01 19830103 172135 229.1 48.1 .3 44.8 6.58 0.851 0.978 171.2 283.0 76.5 MSSP01 19830103.723322 229.1 48.1 .3 44.8 6.58 0.851 0.978 171.2 283.0 76.5 MSSP01 283.00 229.1 48.1 .3 44.8 6.58 0.851 0.978 171.2 283.0 76.5 ^ 20カラム(太陽黄経の場合) 5)以下が出力ファイルの例です。ファイルの拡張子に .LB がつきます。 LB ID DATE(UT) Co.Rad(2000) VG a e q ω Ω i λ β 01 19830103.72 229.1 48.1 44.8 6.58 0.851 0.978 171.2 283.0 76.5 100.9 8.6 01 19830103.72 229.1 48.1 44.8 6.58 0.851 0.978 171.2 283.0 76.5 100.9 8.6 MSSP01 283.00 229.1 48.1 44.8 6.58 0.851 0.978 171.2 283.0 76.5 100.9 8.6 以上