★★★流星群軌道の類似性を調べるプログラム【DHANT.EXE】の使用方法★★★  写真観測やTVの同時で求められた流星の軌道から、既知の流星群に属している ものを検出したり、求められた軌道同士から新しい流星群を検出したりする時に使 われる「D判定」「D’判定」を行うプログラムです。MS−DOS汎用で、PC 98及びDOS/Vで使用できます。  DHANT.EXEを起動すると、下記のように表示されます。 [軌道ファイル名 ?:説明 : ] ここで、 (1)D及びD’判定を行う  → 軌道ファイル名を入力 (2)プログラムの説明の表示 → 「?」を入力 (3)プログラムの終了    → リターンのみを入力  軌道ファイルはMSS-WGの要約軌道表形式です。? で表示される説明を下記します ので、ファイルの形式を参考にして下さい。今までは、最初に登場する軌道データ を基準軌道とし、その後に出てくる軌道データを比較データとしていました。これ ではいろいろな例をテストしたい場合、ファイルをたくさん作らないと行けません でしたが、今回のバージョンから、ファイル中に 「DHANT」の文字があると、その 後に出てくる軌道データを改めて基準軌道データとして計算を行います。なお、フ ァイル名の拡張子は自由ですが、出力ファイルは「.DCR」なのでそれ以外にして下 さい。 ----------------[D&D'判定計算プログラム 1996.09.09 SAE&S]----------------- <D判定の説明> 1)D判定は2つの軌道要素間の類似度を調べる方法です。多くの実データへの当てはめ  結果から、約 D=0.2 以下を同一群とみなします。 2)以下のフォーマットの軌道ファイルを対象にします。MSS-WGの[要約軌道表]です。 3)1行目の軌道データを基準にして、2行目以降の軌道データの D 値を計算します。 4)指定した小数点位置を検出し、 e q ω Ω i を読み込んで D 値を計算します。 5)小数点位置の該当しない行は、何もせずにそのまま出力します。軌道データより前行  に軌道データ以外の行があってもかまいません。 6) D 値の計算結果は、 VG の位置にセットします。 D 値の項目でソートをかければ、  群の判定がしやすいでしょう。(sort +6)。 7)出力ファイル名には拡張子として .DCR が付きます。 8)D判定計算は、要約すると以下の式で表せます。 D^2 = 離心率の差^2 + 近日点距離の差^2 + sin(軌道面間の角度)^2 + sin(近日点黄経間の角度)^2 [要約軌道表] ID DATE UT Co.Rad(2000) SD VG a e q ω Ω i MSSI11 19921230 180111 193.0 14.5 2.3 58.0 1.05 0.119 0.921 246.3 279.4 143.4 -.--- -.--- ---.- ---.- ---.- カラム --> 51 57 65 71 77 <D'判定の説明> 1)D'判定は、D判定に改良を加えた方法で、主な改良点は以下の通りです。 a)近日点黄経間の角度の代りに、実際の近日点方向間の角度にした。 b)判定式の4項それぞれの値が、0〜1の間の値を取る様に4項それぞれにウエイト 付けし、判定値に平等に影響を与える様にした。D判定では、離心率の差、近日点 距離の差は0〜1の値、sin軌道面間の角度、sin近日点黄経間の角度は0〜2の値 を取っていたため、項目によって判定値に与える影響が異なっていた。 2) D'値は D 値の1/2程度になることが多く、約 D'=0.1 以下を同一群とします。 3) D'値の計算結果は、a の位置にセットします。 1)ファイル中に「DHANT」の文字があると、その次のデータが新たな基準軌道データと  なります。 2)ファイル中に「DHANT=D」の文字があるとD判定のみ、「DHANT=D'」の文字があると  D'判定のみ計算します。このとき判定値は a の位置にセットします。 <D判定> Southworth,R.B.,Hawkins,G.S.: Statistics of Meteor Streams, Smithsonian Contributions to Astrophysics,7,pp.261-285 (1963). <D'判定> Drummond,J.D.: ON THE METEOR/COMET ORBITAL DISCRIMINANT D, Proceedings of the Southwest Regional Conference for Astronomy and Astrophysics,5,pp.83-86 (1979). ---------------------[計算結果の例 みずがめ座η流星群]----------------------  1行目が基準軌道データで、ハーバードのスーパーシュミットでの観測結果です。 2行目以降が比較軌道データです。7個の群と2個の散在の D,D' 値に、大きな差が出 ています。 [要約軌道表] ↓ ↓ ID DATE UT Co.Rad(2000) SD D D' e q ω Ω i H11862 19540503 104932 336.2 -1.6 - 0.00 0.00 0.958 0.560 95.2 43.1 163.5 MSSP05 19890502 185906 221.5 -30.1 .1 2.73 1.00 0.899 0.458 98.8 222.5 14.5 MSSP06 19890504 183518 336.4 -1.2 .1 0.05 0.03 0.958 0.590 98.7 44.4 163.1 MSSP07 19890504 184614 337.3 -1.3 .2 0.03 0.02 0.978 0.575 97.5 44.4 163.9 MSSP08 19890504 184935 337.1 -1.7 .2 0.03 0.02 0.961 0.576 97.2 44.4 164.4 MSSP09 19890504 192237 250.1 -10.1 .0 2.56 1.03 0.988 0.118 321.0 44.4 39.4 MSSP0A 19890504 192637 338.0 -1.7 .4 0.16 0.07 0.892 0.518 88.2 44.5 164.6 MSSP0B 19890504 193400 337.2 -1.5 .3 0.07 0.03 0.915 0.553 93.2 44.5 163.8 MSSP0C 19890504 194509 337.2 -1.5 .1 0.04 0.02 0.934 0.560 94.6 44.5 164.0 MSSP0D 19890504 200504 336.6 -1.4 .4 0.09 0.04 0.891 0.559 93.1 44.5 163.4 以上